教科書にはのっていない 認知症の方が「もう帰る!」を繰り返すときのポイント 3選

認知症の知識

あなたの大切な方の介護、毎日本当にお疲れ様です。

認知症のご家族が、自宅にいるのに「もう帰る!」と繰り返し言われることはありませんか?

「もう帰る!」と言われるときのポイントをご紹介します。

・・今日のポイント・・

  • 帰りたい理由を知る
  • 安心して過ごせる工夫をする
  • 無理に引き止めず、付き添ってよく話を聞く

帰りたい理由を知る

「ここが家なのに、どこに帰るっているの!」

と誰でも言いたくなりますよね。

私も、何度も「帰る」と繰り返される方に、どうすればいいかわからず、途方に暮れたことがあります。

何度もそのような方に出会ううちに、帰りたい理由は十人十色であることに気づきました。

帰りたい理由の例

  • 「ここは居心地が悪い。帰りたい。」
  • 「よそにお邪魔していたから、そろそろ帰る時間だ」
  • 「帰って洗濯物を取り込まなきゃ」
  • 「そろそろ息子が帰ってくるから、ご飯をつくらなきゃ」
  • 「帰って夕刊を読まなきゃ」・・etc

まず、認知症によりここが家だと理解できていないこと(見当識障害)が背景としてあります。

そして、帰りたい理由も様々です。

中でも最も理由として考えられるのが

ここが安心できるところではない

という理由です。

家にいながら「帰りたい」とおっしゃる方の「帰ろうとしている場所」は、「生まれ育った生家」のことがあります。

最近の記憶が失われ、昔の自分にタイムスリップしているのです。

タイムスリップの例 現実では85才でも、頭の中では40才。

「この騒がしいところではなくて、あのほっとする自分の家に帰りたい」

そんなときは、記憶の中の家 または安心できる場所そのものを求めているのかもしれません。

安心して過ごせる工夫をする

あなたがどこかに行ったとき

「もう帰りたい」

と思うときはどんなときですか??

あなたが帰りたいと思うときは

「ここが安心できるところではない」

と思う時や、とても居心地が悪く苦しい時ではないでしょうか。

「自分は今まで通りふるまっているつもりなのに、何かがおかしい」

そのような不安の中でいつも認知症の方々は過ごされています。

「ここは安心できるところではない」

「帰りたい!」

「安心できる場所に戻りたい!」

と思うことは、とても自然なことです。

認知症とともに過ごすのは、とても大きな不安がつきまといます。

「帰りたい!」と思うのは、安心できる場所を求めていることが、ひとつの大きな理由です。

安心できる環境づくりのポイント

・・あなたはどんなときにほっとしますか??

その方にとって、安心できる環境をととのえてあげてください。

・・安心できる環境づくりのポイントつ・・

  • 認知症になる前と同じかかわり  ・・ 今までと同じように接することが最も安心できます
  • なじみの環境          ・・ 昔使っていたものなどを置くと、最近の記憶がなくても安心します
  • 静かな空間           ・・ 大きなTVなどの音の刺激は、脳を疲れさせてしまいます
  • 少しの横になる時間       ・・ たくさんの刺激で疲れた脳を、少し横になることでリフレッシュします
  • 集中できる作業         ・・ やりなれた馴染みの作業に集中することで安心できます

特に、馴染みのものを置いたり、TVの音量を下げたりすることは、すぐにできる安心感を高める環境づくりです。

その方にとって安心できる環境をととのえることで

「帰りたい!」

「ここは安心できない!」

という気持ちを和らげることができます。

無理に引き止めず、付き添ってよく話を聞く

「出て行ったらダメ!」

帰りたいのに無理に止められると、あなたはどう感じますか??

無理に引き止めようとすればするほど帰りたい気持ちやストレスは強くなります。

「帰りたい」と出ていこうとされるときは、一緒に付き添って出ていきましょう。

出ていく理由は様々です。

  • 「ここは居心地が悪い。帰りたい。」
  • 「よそにお邪魔していたから、そろそろ帰る時間だ」
  • 「帰って洗濯物を取り込まなきゃ」
  • 「そろそろ息子が帰ってくるから、ご飯をつくらなきゃ」
  • 「帰って夕刊を読まなきゃ」・・etc

引き止めることを目的とせず、付き添いながら今どんな気持ちなのか、なぜ出ていこうとしているのか理由を聞き、とことんお話をしましょう。気持ちを伺いましょう。

お話の中から

  • 帰りたい理由
  • 行こうとしている場所

が見えてきます。

付き添いながら、穏やかにしっかりと気持ちを聞き、気持ちが落ち着いてきたら

「そろそろ戻りましょうか」

と声をかけてみましょう。

もし声かけに応じて帰ってくれたのだとすれば、それは帰りたくなったからではなく、心から話を聞いてくれたあなたに心を許してあたなの言うとおりにしてあげたくなったからかもしれません。

その場をうまく収めること以上に、帰りたい理由帰りたい場所を知り、安心して過ごしてもらう工夫をすることが大切です。

まとめ

自宅にいるのに「もう帰る!」を繰り返すときのポイントをご紹介しました。

・・今日のポイント・・

  • 帰りたい理由を知る
  • 安心して過ごせる工夫をする
  • 無理に引き止めず、付き添ってよく話を聞く

・・安心して過ごせる工夫のポイント5つ・・

  • 認知症になる前と同じかかわり  ・・ 今までと同じように接することが最も安心できます
  • 静かな環境           ・・ 大きなTV音など刺激が多すぎる環境では、脳が疲れてしまいます
  • ひとりの時間          ・・ 集団から離れることで、自分だけのほっとする時間を作ることができます
  • 少しの横になる時間       ・・ たくさんの刺激で疲れた脳を、少し横になることでリフレッシュします
  • 集中できる作業         ・・ やりなれた馴染みの作業に集中することで安心できます

人によって「帰りたい」と思う理由は様々です。

出ていく理由がちゃんとあって、その人にとっては普通の行動です。

その場をうまく収めること以上に、帰りたい理由帰りたい場所を知り、安心して過ごせる環境づくりをすることが大切です。

まず、安心して過ごせる環境づくりをしてみましょう。

それでも出ていこうとされるときは無理に引き止めようとせず、付き添いながら、穏やかにとことん話を聞く。

出ていく理由がわかれば、解決の糸口が見えてくることがあります。

また、認知症の方々にとって役割はとても重要です。

その方が必要とされる活動の場があると「帰りたい」と思う気持ちもなくなることが多いです。

役割については、下の記事をご覧ください。

この記事が少しでもあなたの参考になればうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。