あなたの大切な方の介護、毎日本当にお疲れ様です。
「ご飯まだ?」
何度も同じことを言われると、怒るのはよくないとわかっていても誰だってイライラしてしまいますよね。
そんな時にあなたがイライラしなくてすむ方法をご紹介します。
・・今日のポイント・・
- 「頑張らない」ことを頑張る
- 助けてもらう
- 学ぶ
「頑張らない」ことを頑張る
「何回同じこと聞くの!」
「夜中なのにどこに出ていくの!」
そんな毎日を頑張りすぎていると、気持ちの余裕もなくなります。
「怒ってはだめ」
そう思っていても、気持ちに余裕がないとついイライラしてしまいますよね。
そんな時に、気持ちに余裕をもたせる方法をご紹介します。
マインドフルネス
一言でいうと瞑想のことです。
マインドフルネスとは、心と体のバランスをとる有効な方法として注目されています。
皆さんご存知のグーグルやアップルでも社内研修で取り入れられています。
目を閉じて呼吸・自分の体の感覚・心の動きに意識を向け、「今をありのままに受け入れる」ことを意識します。
ちょっと難しいかもしれませんが、慣れてくると仕事中や車の運転中でもできるようになってきます。
私は↓の本を読んでマインドフルネスと出会い、毎日10分程度続けています。
マインドフルネスで悩みがなくなるわけではありません。
ただ、心が落ち着き、必要以上に追い詰められることはなくなると私は感じています。
「頑張らなくてはダメだ」から抜け出す
「自分が頑張らなければ」
そう思い込んでいませんか??
「頑張らなくてはダメだ」という信念が、私たちの社会には蔓延しています。「苦労は勝手でもしろ」という言葉があるように、苦労は美徳のように考えられている風潮があります。
ただ、心のゆとりがなくなれば、介護に余裕がもてなくなります。すると、介護される認知症の方も苦しむことになります。
PRESIDENT Onlineに禅僧・南 直哉さんの記事があります。
(以下、PRESIDENT Online 「相手を変えたければ、まず自分を変えよう」そんなよくある助言を、禅僧が真正面から否定するワケ」より一部引用
老親を一人で介護する50代男性の苦しみ
まずは家族の問題について「自分さえがんばれば」と努力し続けた、ある50代男性のお話です。
彼は役所勤めをしながら、90歳間近の父親をひとりで介護していました。父親には視覚障害と軽い認知症があり、デイサービスや介護サービスは一切拒否し、息子の介護しか受けつけなかったのだそうです。
母親はすでに亡くなっており、ひとりっ子だった彼は孤軍奮闘しましたが、体重が減ってあきらかに顔色も悪くなり、倒れるのではないかと職場で心配されるまでになりました。市の福祉担当者からも「このままでは、あなたが先に死んじゃうよ」と言われたそうです。
それでも彼が父親の介護をし続けたのは、両親の愛情を一身に受けて育ち、恩義を感じていたことと、もし父の望みどおりにしなければきっと後悔するだろうと考えていたからです。それで、「お前が親の面倒を見るのは当たり前」と言われれば、従うしかなかったわけです。
極限状態で、彼は私に電話でアドバイスを求めてきました。そうでなければ病気で倒れるか、あるいは、「父親さえいなければ」と考えるようになっていたかもしれません。
「この人さえいなければ」と考えるのは、あってはいけない話です。しかし、介護の場面で、人はそこまで追い詰められます。いびつな関係の中で「自分が我慢すれば」「私さえがんばれば」と考えて、にっちもさっちもいかなくなってしまうのです。
真面目で一生懸命な人ほど思いつめる
私は、とにかく父親をデイサービスにあずけるようにと言いました。一日数時間だけでも、彼が父親から解放される時間を確保することが最優先だと考えたのです。男性は、「父の説得はむずかしいし、悲しませることになる」と抵抗しました。しかし、「あなたが死んでしまったら、お父さんはもっと不幸になるでしょう」と言うと、なんとか納得してくれました。
「がんばれば、いつか努力が報われる」
「自分が変わりさえすれば、事態は好転する」
真面目で一生懸命な人ほど、そう思いつめる傾向があるようです。しかしいくら努力しても、人間関係は報われないことのほうが多い。そう思っておいたほうがいいでしょう。
特に、家族の問題は、思いやりや愛で強引にカタをつけようとすると、袋小路に入ってしまいます。なかでも、その傾向が顕著に表れるのが介護の問題です。介護では、家族の中で一番力の弱い人にしわ寄せがいきます。最近、問題になっているヤングケアラーは、まさにその典型でしょう。
・・いかがでしたか??
「私が頑張らなければ」から、まずは抜け出す必要があることを認めてみましょう。そして、自分を大切にすることは悪くないことを受け入れてみましょう。
認知症の方にとっては、あなたは大切な人です。あなたが苦しみ続けることは、認知症の方にとっても不幸につながります。
「頑張らないこと」を頑張ってみませんか??
助けてもらう
「私が頑張らなければ」
と思い込んでいると、人の手を借りることを悪いことと思ってしまう傾向があります。先ほどの男性の例でも、デイサービスに預けることをよくないと抵抗されていました。
しかし、介護は長い期間向き合う必要があるものです。自分だけの力で頑張ろうとしていると、いつか燃え尽きてしまいます。
日本にはたくさんの介護サービスがあります。
その中のいくつかをご紹介します。
通いのサービス
- デイサービス ・・ 介助やレクリエーション中心 送迎付き
- デイケア ・・ リハビリテーション中心 ・・etc
この2つは、自宅に生活しながら昼間は預かってもらえるので、介護負担を和らげるのに有効です。認知症対応型のデイサービスもあります。
一時宿泊サービス
- ショートステイ ・・ 短期間のお泊りサービス リハビリも付けられます
一泊でもお泊りがあると、介護する側も息抜きができます。息抜きはとても大切なことです。罪悪感をもたず、ぜひ利用してください。
入所サービス
- グループホーム ・・ 少人数の入所サービス 馴染みの関係が作りやすく安心して過ごしやすい
- 介護老人保健施設 ・・ いったん入所して、自宅で生活できるようにリハビリを行います ・・etc
自宅でどうしても生活できなくなった方は、入所を検討してみましょう。ただ、在宅で利用できるサービスはたくさんありますので、まずは通所サービス・ショートステイの利用をおすすめします。
その他、自宅に来てくれる訪問看護・訪問介護・訪問リハなどもあります。
相談窓口
まだ介護サービスを利用されていない方は、市区町村の介護保険窓口へ行ってみてください。その後の介護認定について説明していただけると思います。
また、近所の方・よく行く店の方にも「認知症なんです。来たときはよろしくお願いします」と言ってみましょう。
認知症だと知ることで、支援の手が差し伸べやすくなると思います。
助けてもらうことは悪いことではありません。
むしろ、心のゆとりが生まれることで介護する側も、介護される側も苦しまずに生きることができます。
ぜひ介護サービスを利用し、また周りの方々にも相談して支援してもらいましょう。
まずは、あなたの心と体を大切に。
学ぶ
「なぜ何回も何回も同じことを言うの?」
「なぜいつも夕方になると帰るというの?」
その理由がわからないと、介護するあなたもストレスがたまりやすくなります。
どんな行動にも、認知症の方なりの理由があります。
しかし、認知症の方には脳の萎縮が原因で、認識が私たちと違います。
認識のズレが原因で、私たちからすると「わけのわからない行動」に見えてしまう。
しかし、以下のことを学ぶことで「わけのわからない行動」の理由を知ることができます。
- 認知症の症状
- 認知症のものの見え方
- ご本人様のこれまでの生活
- ご本人様の想い
・・例えば、90才男性。自宅にいるにも関わらず、いつも夕方には「帰る」と言う方がいらっしゃったとします。
一見、「わけのわからない行動」に見えるかもしれません。
ただ、もし以下のようなことを知っていたらどうでしょう。
- 逆行性健忘 ・・ 新しい記憶から失っていき、現在は40才くらいだと思っている。
- 環境 ・・ 息子が最近家を建て替え、新しい家に同居している。
- 過去の生活 ・・ 40才ころは役場に勤めており、夕方には帰宅していた。
- 想い ・・ 息子は子供の頃ころ病気がちだったので、早めに帰宅し顔を見るようにしていた。
40才の頃に住んでいた家と違うので「役場から帰って、息子の顔を見なければ」と思われたのかもしれません。
どんな行動にも、その方なりの理由があります。
認知症について知ることで、「わけのわからない行動」が「納得できる行動」になります。
理由がわかれば、介護されるあなたのストレスもやわらぎ、対処法が見えてくると思います。
まとめ
「怒ってはダメ」と思っていてもイライラしてしまう。
そんな時の対処法をご紹介しました。
・・今日のポイント・・
- 「頑張らない」ことを頑張る
- 助けてもらう
- 学ぶ
特に、介護サービスを利用することに抵抗を感じる方もおられると思います。
ただ、介護されているあなたが疲れ果ててしまうことは、認知症の方にとっても良くないことです。
まず、自分のことを大切にしてあげてください。
「私が頑張らなければ」から抜け出し、一息つくことも必要だと思えたら、心の負担も変わってくると思います。
また、私の書いている記事も「わけのわからない行動」の理由とその裏に隠れた想いを知る助けになると思います。
これからも皆様と一緒に学んでいけたらと思います。
この記事が少しでもあなたの参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。