あなたの大切な方の介護、毎日本当にお疲れ様です。
役割があることで認知症のご家族は安心し、その人らしく穏やかに過ごせるようになります。
認知症の方にとっての役割の大切さについて、ご紹介します。
役割について知ることで、認知症のご家族もあなたも自分らしく生きるヒントが見つかると思います。
・・今日のポイント・・
- 「必要とされること」 = 役割
- できない所だけを手伝う
- 意味のある作業を
「必要とされること」 = 役割
「お母さん、何やってるの!鍋焦げてるじゃない!もう私がやるから貸して!」
このようなことは、よくある光景だと思います。何回も鍋を焦がしているのを見ると、つい怒ってしまいますよね。
ではなぜ、この認知症の方は鍋を火にかけたのでしょうか。
- 「娘は忙しそうだから、できる料理をしてあげたい」
- 「私も何か役に立ちたい」
- 「料理だったら、今までずっとやってきたから」
認知症になっても、いや認知症になったからこそ
「誰かのために何かをしたい」
「必要とされたい」
という思いは強く持たれています。
認知症になると、自分ではちゃんとやっているつもりでも、怒られること・非難されることが多くなります。
「何かがおかしい。うまくいかない。」
役割を取り上げられ、世話をされるだけになった認知症の方は、徐々に自信を失い、生きる希望を失っていきます。
・・役割とは必要とされることであり、認知症の方にとってとても大切なことです。
できない所だけを手伝う
もし鍋を焦がしてしまうお母さんに
「お母さん、私が手伝うから一緒にやろうか」
と声をかけたらどうでしょう。
できない所だけを手伝うことで、お母さんは今まで自分の役割だった「料理」という役割を果たすことができます。
「いつも世話をしてくれる娘の役に立てた」
「私もまだ必要とされている」
このような体験は、認知症の方にとっての生きる気力と安心感につながります。
今介護をされている方は、認知症になる前にどんな役割があったでしょうか??
例えば
- 毎朝、家族のためにご飯とみそ汁などの料理を作っていた
- 編み物が得意で、友達に腹巻などを作ってあげるのを楽しみにしていた
- 畑で野菜を作るのが楽しみで、できた野菜は近所におすそ分けしていた ・・etc
ぜひ認知症になってもこれまで大切にされていた役割ができるように、できない所だけをお手伝いしてあげてください。
無事に終えることができたら
「ありがとう。一緒にしてくれて助かりました。あなたがいてくれてよかったです。」
と感謝の言葉を伝えてください。
認知症の方にとって、この一言が生きる希望となります。
意味のある作業を
「意味のある作業」とは、その方がこれまで大切にしてこられた役割です。
例えば
これまで自分がずっとこなしてきた大切な仕事
とても楽しみにしていたこと
人から喜ばれること 頼られること
あなたが今介護されている方のこれまでの人生を振り返れば「意味のある作業」が見えてくるかもしれません。
その「意味のある作業」を、その方のやり方で行えるように支援してみて下さい。
例えば、みそ汁づくりでは
- いつもみそ汁は、○○屋さんのみそを使っていた。
- みそ汁には、長ネギをいつも入れていた。
- 長ネギは、芯は早めに・先は煮立つ直前に入れていた。
- みそ汁を出すときは、お父さんから配膳していた ・・etc
このようなこだわりは、とても大切なものです。
自分が大切にしている役割を、自分らしいやり方でこなす
その中から、生きる意味が生まれてきます。
これは認知症になった方にとって最も大切なことかもしれません。
まとめ
役割があることで認知症の方々は安心し、その人らしく穏やかに過ごせるようになります。
認知症の方にとっての役割の大切さについて、ご紹介しました。
・・今日のポイント・・
- 「必要とされること」 = 役割
- できない所だけを手伝う
- 意味のある作業を
認知症となり、不安の霧の中におられる方にとって、役割があること・必要とされる場があることで生きる意味が生まれます。
V・E・フランクルというアウシュビッツ強制収容所に収容された体験を持つ心理学者は「意味は外部にある」という言葉を残しています。わかりやすく言えば、「人生の意味は自分だけで完結するものではなく、常に周囲の人、社会との関係から生まれる」(「養老孟司著・「バカの壁」より)ということです。
周囲から必要とされ、つながりを持ちながら生きることで、認知症の方も生きる意味を持って過ごすことができるでしょう。
ぜひ、その方にとって意味のある作業をその方らしいやり方でできる支援をしてみてください。
「ありがとう」
その一言で、認知症になっても生きる意味が生まれるはずです。
この記事が少しでもあなたの参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。