あなたの大切な方の介護、毎日本当にお疲れ様です。
あなたは「認知症は治らない」と思っていませんか?
一般的には「アルツハイマー病は治らない」と言われています。
しかし、認知症研究の世界的権威 デール・ブレデセン氏は
「アルツハイマー病は治すことができる・予防できる」
との研究を発表し、世界中に衝撃を与えました。
これからその内容を分かりやすく説明します。
この記事を読めば、現在アルツハイマー病の方も、将来アルツハイマー病になるかもしれない方も、アルツハイマー病が改善/予防できる可能性がある方法がわかります。
以下、デール・ブレデセン著「アルツハイマー病 真実と終焉」参考・引用
※私個人の見解を含みます。
・・今日のポイント・・
アルツハイマー病は現代の生活スタイルへの脳の防御反応
脳と体にとってストレスのない生活スタイルへの切り替えで脳の働きは改善する
カリフォルニア大学のデール・ブレデセン氏が開発したのは、アルツハイマー病の治療プログラム・リコード法です。
2014年に医学雑誌「Aging」で発表した研究では「リコード法によりアルツハイマー病の約9割に回復が認められた」とする衝撃的なもので、世界的に波紋を呼んでいます。
ブレデセン氏は、アルツハイマー病の原因を大きく3つに分類し、その原因ごとにアルツハイマー病を3つのタイプに分類しています。また、発症要因が36個あることも研究により明らかにしています。
そのため、ひとつの薬(アリセプト)だけでアルツハイマー病を改善するのは難しいとブレデセン氏は述べています。
3つの原因により神経(シナプス)の破壊と修復のバランスが崩れること。
バランスの崩壊がアルツハイマー病の仕組みです。
では、リコード法とはどんな方法なのでしょうか。
リコード法の要点
リコード法とは、まずバランスが神経破壊へ傾いた原因を検査で特定します。そして神経修復の方へバランスを変えていきます。
バランスを変えるためには、以下のようなポイントがます。
- 検査① 認知症遺伝子の有無 ⇒ 認知症になりやすいか調べる
- 検査② 詳しい血液検査 ⇒ 良くない項目を良くする
- 脳に良い食べ物を食べる
- 糖の摂り過ぎをやめる
- 良くない脂肪をとらない
- 添加物・毒素・カビを避ける
- ストレスをためない
- 8時間の睡眠
- 運動
リコード法は、検査から原因を突き止め、血液検査の異常が正常(最適)となるようにアプローチをしていきます。
例えば葉酸を例に挙げます。
・一般的な正常値 ・・ 2~20ng/mL
・リコード法が勧める最適値 ・・ 10~25ng/mL
このように、一般的な正常値ではなく、認知機能改善に最適な値をリコード法では目標にしていきます。
でも、遺伝子検査や詳しい血液検査をするのはハードルが高いですよね。
まずは、上に挙げたポイントを意識したライフスタイルを心がけてみましょう。ライフスタイルで心がける詳しいポイントは、後ほどお伝えします。
アルツハイマー病の3大原因 ①炎症 ②栄養不足 ③毒素
アルツハイマー病の原因は、アミロイドβというタンパクが脳にたまりすぎることだと言われています。そのため、現在の最新治療でもアミロイドβを取り除く薬(レカネマブ)を投与する方法がとられています。
(よく使用される薬のアリセプトはアミロイドを除去するわけではなく、脳の働きをできるだけ保つ役割にとどまります。)
ブレデセン氏によれば、アミロイドβは脳を守るために出てくるものだと述べています。いわば、アミロイドβは脳を守るための兵士のような役割を持っているのです。
ブレデセン氏によると、アミロイドβが脳にたまるのは、大きく3つの原因があると言います。
原因① 炎症
・・菌や糖、良くない脂肪(飽和脂肪酸)で炎症が起こる
⇒菌の侵入から脳を守ろうとアミロイドβが作られる
⇒糖・良くない脂肪を摂ると腸が傷つき、そこから菌や食品が体に入ることでアミロイドβが作られる
アミロイドβは菌などをやっつける兵士のような役割があります。
菌や糖・良くない脂肪により炎症が生まれ、アミロイドβが多く作られすぎることで脳の働きが低下します。
ここでいう菌とは、口の中のバクテリアや鼻から入ったカビなどです。お口のケアや鼻の病気の治療は大切です。また、家の中にカビなどが生えにくい通気性の良い環境も大切です。
糖・良くない脂肪とは、グルテンや飽和脂肪酸・人工脂肪,乳製品などです。グルテンとは、小麦などに多く含まれています。グルテンの他に、日頃から砂糖などを摂り続けることもアミロイドβを作る原因となります。
グルテンを多く含む食品は、例えば以下のようなものです。
- 小麦(パスタやパン)
- ハンバーガー
- フライドポテト
- ソーセージ,ベーコン
- アイスクリーム ・・etc
腸には害のあるものを取り込まないようにするバリア機能が備わっています。しかし糖・良くない脂肪が体内に入ると、腸に小さな穴が空き始めます(腸漏れ症候群)。そこから体内へ菌や糖など、脳にダメージを与える物質が入り込むようになります。
原因② 栄養不足
・・神経を助ける栄養やホルモンが不足しても、アミロイドβが生まれる
神経を助ける栄養やホルモンには、例えばビタミンDや葉酸などの他にBDNFという神経を助ける栄養素があります。
栄養素やホルモンが不足しても、脳はアミロイドβを作ります。
BDNFは運動によって作られるため、日ごろの運動不足もアルツハイマー病になる要因になります。
原因③ 毒素
・・銅や水銀・カビから生まれる毒素から脳を守るためにアミロイドβが作られる
アミロイドβは、菌だけでなく毒素からも脳を守る役割を果たしています。脳に毒素が入り込み続けると、脳を守ろうとアミロイドβが作られ続けます。
ここで言う毒素とは、銅や水銀の他に、カビから生まれる毒素などがあります。銅は銅パイプから体内に入る場合があります。水銀はマグロやメカジキなどに多く含まれます。
このような毒素を分解するために、アミロイドβは作られます。
アルツハイマー病の原因 その他
・・認知症遺伝子によるもの
自分でコントロールできないため「その他」に挙げましたが、アルツハイマー病になる最も大きな原因は認知症遺伝子(ApoE4)によるものと言われています。
- 認知症遺伝子がない人がアルツハイマー病にかかるリスクは9%
- 片方の親から認知症遺伝子を受け継いでいると、アルツハイマー病にかかるリスクは30%↑
- 両方の親から認知症遺伝子を受け継いでいると、アルツハイマー病にかかるリスクは50%以上↑
これを見てわかる通り、認知症遺伝子を持っているかどうかはとても大きな問題です。
アルツハイマー病の3つの原因を分解すると、上の図のような要素があるとブレデセン氏は述べています。
脳を守るために脳は萎縮する
先ほど述べた通り、アミロイドβが生まれるのは脳を守るための防御反応です。
現在の最新治療はアミロイドβを取り除く薬が注目されていますが、アミロイドβを取り除くことは根本的な解決になりません。
アミロイドβが作られすぎることが脳の神経(シナプス)を破壊しますが、逆に治そうとする働きももともと人間には備わっています。しかし、破壊の動きの方が強いと、徐々に脳は萎縮しアルツハイマー病へと近づいていきます。最初に述べた通り、バランスが神経破壊の方へ傾くことが、アルツハイマー病の仕組みです。
バランスが神経を破壊する方へ傾くのは、①炎症 ②栄養不足 ③毒素の3つの原因によります。
具体的には、糖・良くない脂肪の摂り過ぎ・添加物や毒素の侵入・脳に必要な栄養の不足・睡眠不足・運動不足・認知症遺伝子などです。
では、どうすればこの悪いバランスを良いバランスに変えることができるのでしょうか??
アルツハイマー病の予防・改善のためにやってはいけないこと/やるべきこと
アルツハイマー病の予防・改善のためにやってはいけないこと/やるべきことのポイントを挙げます。
やってはいけないこと
食事
- 糖の摂り過ぎ ・・ ハンバーガー・フライドポテト・パスタ・白米・お菓子・ジュース・アルコールなど
- 飽和脂肪酸・人工脂肪 ・・ ファストフード・ソーセージなどの加工食品
- 空腹時間がない ・・ 食事と食事の間が12時間空いていない。食間におやつを食べる。
- 野菜不足 ・・ 野菜が少ないとインスリンが上昇しやすく毒素が排出されにくい
- タンパク質の摂り過ぎ ・・ 体重60kgなら、一日60gが適量。
- 揚げ物・焼き物・茹でたもの ・・ AGE(終末糖化産物)が生まれアミロイド産生の原因となる。
睡眠
- 6時間睡眠 ・・ 6時間睡眠が2週間続くと1晩徹夜したのと同じ脳の働きになる。
- 睡眠時無呼吸 ・・ 大きな危険要因。睡眠の質の低下を招く。
- 寝る前のスマホ・パソコン ・・ ブルーライトで睡眠の質が下がる。LEDライトにも含まれる。
- 寝室が明るい ・・ 認知機能に大切なメラトニンが少なくなる。
- 睡眠薬の服用 ・・ 眠れているように見えても感情を弱め脳が麻痺しており悪影響
- 夜の激しい運動 ・・ 睡眠の質を下げる。
- 夜のカフェイン摂取 ・・ 睡眠の質を下げる。
- 食べてすぐ寝る ・・ 寝る前にインスリンが急上昇し、認知機能だけでなく睡眠・免疫も障害する。
生活
- ストレス ・・ 大きなストレスは認知機能低下の重大因子。
- 座りっぱなしの生活 ・・ 認知機能&心血管系の大きなリスク。「座り過ぎは新たな喫煙」
- 口のケア不足 ・・ 口の中のバクテリアは血液の中に入り脳にダメージを与える。
- 薬 ・・ ステロイド・抗生物質・抗炎症剤の使用。また、全身麻酔もリスク要因。
やるべきこと
食事
- 12時間の絶食 ・・ 12~16時間絶食することが認知機能に最適。BDNFが生まれる。
- 寝る前の3時間は食べない ・・ 就寝時にインスリンが急上昇するのを防ぐ。
- 低炭水化物食 ・・ グルテンや糖を最小限にする。
- 彩り豊かな野菜 ・・ 生野菜と調理野菜を混ぜる。でんぷんを含むジャガイモなどは控える。
- 良質な脂質 ・・ オリーブオイルやアボカド,ナッツなどの不飽和脂肪酸を摂る。
- 最小限のタンパク質 ・・ 体重1㎏あたりタンパク質は1g。それ以上摂取すると糖に変わるため。
- 毒素の排出を促す食品 ・・ 大根,ブロッコリー,アボカド,オリーブオイル,レモン,グレープフルーツ,ニンニク,生姜,海藻などを摂る。
- 発酵食品 ・・ 乳製品のヨーグルトではなく、キムチやみそ汁,酢漬けを摂る。
- 煮る・蒸す・炊く ・・ 揚げる・焼く・ゆでる調理で生まれるAGEが生まれにくい。
睡眠
- 8時間睡眠 ・・ メラトニンが生まれ認知機能改善に役立つ。
- 睡眠環境を整える ・・ 部屋を暗くする,寝る前はくつろぐ,スマホoff,夕食は軽めに,運動は早いうちに,カフェインは午後早いうちから飲まない,寝室にテレビは置かない
- 睡眠時無呼吸症候群の治療 ・・ 睡眠の質を下げるため、治療は必須。
- 瞑想 ・・ ストレスが下がり睡眠の質が良くなる。海馬容積が増える報告も。
生活
- 定期的な運動 ・・ 一日45~60分,週に4~5回。ウォーキング,ジョギング+筋トレ。海馬を大きくし、ストレス↓,睡眠の質↑,インスリンが出過ぎるのを防ぐなど良い効果がたくさんある。
- ストレス解消 ・・ 瞑想やヨガは強力なストレス軽減法。深呼吸も簡単な割に効果が高い。マッサージ,音楽,笑う,動くなどもよい方法。
- 脳トレ ・・ 週5日,1日10~20分。ブレインHQアプリ(iPhone/アンドロイド)で脳トレメニュー提供。
- サウナ ・・ 毒素の排出を促す。
特に食事についてはアルツハイマー病の最も大きなリスク要因です。気を付けて生活をすることで、リスクを下げることができます。
また、睡眠にも気を付ける必要があります。睡眠は、スマホを枕元に置いて知らず知らずのうちに睡眠の質が下がっていることがあります。それ以外にも、睡眠時無呼吸症候群にも注意が必要です。実は私も睡眠時無呼吸症候群でした。睡眠時無呼吸症候群の75%は、一度も受診したことがないと言われています。昼間に眠い,疲れが取れにくい,いびきをかくような方は、一度受診してみることをお勧めします。
適度な運動を行う習慣を持つことも大切です。運動により、ストレスはやわらぎ血糖値も上がりにくくなり、良い睡眠をとることができるようになります。
現在アルツハイマー病でない方も、40歳から徐々にアミロイドβが蓄積していきます。このようなポイントに気を付けて生活していただくことで、将来なるはずだったアルツハイマー病にならずにすむ可能性があります。
まとめ
・・今日のポイント・・
アルツハイマー病は現代の生活スタイルへの脳の防御反応
脳と体にとってストレスのない生活スタイルへの切り替えで脳の働きは改善する
このように、アルツハイマー病の主な原因は、糖・良くない脂肪の摂り過ぎ・添加物や毒素の侵入・脳に必要な栄養の不足・睡眠不足・運動不足・認知症遺伝子などがあります。
つまりアルツハイマー病の原因は、認知症遺伝子以外は主によくある現代のライフスタイルそのものです。
リコード法は、脳が萎縮しなくて済むようにライフスタイルを変えることに重点を置いています。薬はその助けにのみ使用します。
ライフスタイルを変えるとは、例えばチーズバーガーやソーセージ,アイスクリームを避け、替わりにナッツを食べることや、座る時間を減らし運動をすることなどがあります。8時間の睡眠をとり、ストレスをためないことも重要です。
人間は大昔、木の実や果実、肉・魚,時に穀物を食べて生活してきました。当時は脂質中心の食生活で、適度に空腹時間もありました。睡眠も十分に取れていました。
しかし現在は砂糖や添加物・薬を摂り過ぎるようになり、運動もしなくなり、睡眠も十分に取らなくなりました。
このような現代では当たり前の生活は、知らず知らずのうちに脳にダメージを与えていきます。このダメージから脳を守るために、正常な反応として脳は萎縮してしまう=アルツハイマー病になると考えられます。
現代のライフスタイルからの脳へのダメージを減らし、正常な状態にすること。
これがリコード法の全体像です。
リコード法を知ることで必ず認知症が防げるわけではありません。ただ、このような研究がされていることを知ることは何かの役に立つと私は思って記事を書きました。
この記事が少しでもあなたの参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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